地方分権一括法の施行で変わる地方自治体の政策法務。

■時代が塗り変わる地方分権一括法の施行。

地方自治体の政策法務機能や能力が問われだしたターニングポイントとなったのは、1999年7月に成立した「地方分権一括法」の制定からです。

この法律は2000年4月から早々と施行されましたが、地方分権一括法に関連した法案だけで実に475本もの関連法成立が必要であったというから驚きです。

地方分権一括法の成立にも多くの国家公務員が徹夜仕事で法務に携わったことは言うまでもありません。

地方分権一括法の趣旨や目的こそ先に記述した地方分権の推進そのものです。

国にすべてを強いるような甘えた地方自治ではなく、独立精神の強い自治体をつくりだしていこうというものです。

それによって地方の自主裁量権が高まり、国の管理下や管轄、認可待ちといった受動的な立場からの甘えを断ち切ることができます。

■新たな仕事と同時に“増える自治体の裁量権”。

地方分権一括法の施行にともなってそれまでの機関委任事務が廃止されました。

これも言ってしまえば地方自治体の甘えにつながるような機構で、“国の機関が地方の機関に指示して、いろいろと仕事をさせる事務システム”です。

これが廃止となり、地方自治体はそれに代わる職域として「法定受託事務」と「自治事務」という制度を新しく設け、言ってしまえば自前のエンジンを開発・導入したような体制を整えることになりました。

また地方自治体は、「法定外普通税」を開設するようにもなりました。

法定外普通税とは地方税法に規定されていない税金のことで、これが自治大臣の裁量で事実上新設できるようになりました。

極端にいえば、自治は独自に課税科目を増やすことで、国に文句を言われることなく税収を増やすことができます。

■千葉県における政策法務委員会(事例)

地方分権改革の進展にともなって、たとえば千葉県では立法政策・法務に関連した対応を主体的に行っていくための“部局横断的な組織”となる政策法務委員会が設置されています。

政策法務委員会は、各部の次長などが中心となってつくられている組織で、案件処理の舵取りから最終案の文言策定までのフローについて実質的な審議が行われるところです。

この委員会が政策法務重要案件と指定した案件については、各機関の横断的なプロジェクトチームが即時検討に入り、委員会の再審議・政策法案化などのプロセスにすすんでいきます。

こうした組織の新設・再編には、当然のことながら、政策法務課、政策法務主任、総務部政策法務課、あるいは政策部政策法務課といった組織を新たに立ち上げることになり、場合によっては政策法務アドバイザーといった識者を外部から招く必要にも迫られます。

千葉県だけではなく、こうした取り組みが喫緊の課題となったいま、各地方自治体では政策法務課トップページで、広く住民の理解を得るための訴求活動も必至となっています。

これらに関連して政策法務論が再燃したり、行政手続条例や条例制定のための任務も煩雑となりますが、ある意味においてはこうした過渡期を経て、法務セクションの安定化・政策法務担当者の法務知識の深耕、政策法務能力の向上につながっていくとみられています。

卑近な例では個人情報保護審議会などが各自治体に常設されていますが、この審議会の設置運営も、政策法務同様にカオスともいうべき変遷を踏んで立派な組織となりました。

今後の自治体職員の頑張りに大きな期待が寄せられています。